超硬合金結合剤—コバルト(2)
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コバルト(羅Cobaltum 英Cobalt)は、原子番号 27 の元素。元素記号は Co。鉄族元素の一つ。安定な結晶構造は六方最密充填構造(hcp)で、強磁性体。純粋なものは銀白色の金属である。722K以上で面心立方構造(fcc)に転移する。
鉄より酸化されにくく、酸やアルカリにも強い。
用途
単体金属としてのコバルトの用途はほとんどないが、その中で最も重要なものは、放射性同位体のコバルト60をγ線源として用いるもので、医療分野での放射線療法、ガンマ線滅菌、食品分野での食品照射(ジャガイモの発芽防止)などに広く利用されている。
コバルトが不純物(ケイ酸コバルト)として入ることによって、ガラスなどが青色を呈する。青色の顔料であるコバルトブルーはアルミン酸コバルトを主成分としており、陶磁器の着色や絵具などに用いられている。他にも亜鉛とコバルトの複合酸化物やコバルト、ニッケル、チタン、亜鉛の複合酸化物はコバルトグリーンと呼ばれる緑色の顔料になる。亜硝酸第二コバルトカリはコバルトイエローと呼ばれる黄色の顔料となる。その絵具はオーレオリンと呼ばれる。
化合物の塩化コバルト(II) は、シリカゲルに混ぜ、湿気の吸収具合を色の変化で示す指示薬として使われる。
また、コバルトは、主に合金として重要であり工業的に利用される。初期のコバルト合金はそれまでの、高速度工具鋼にコバルトを添加した超高速度工具鋼に用いられたほか、切断工具材料としてそれまでの合金に添加されることで、コバルトの需要は増していった。現在、ニッケル・クロム・モリブデン・タングステン、あるいはタンタルやニオブを添加したコバルト合金は高温でも磨耗しにくく、腐食にも強いため、ガスタービンやジェットエンジンといった、高温で高い負荷が生ずる装置などに用いられているほか、溶鉱炉や石油化学コンビナートなどでも十分に役割を果たす。またステライトに代表されるコバルト・クロム・タングステン(あるいはモリブデン)・炭素を使った4元系の合金は、磨耗に強く表面強化が必要とされた工業分野において幅広く利用され始めている。この合金は、鋳型として使用するほか、粉末として吹き付けることや溶射して利用することも可能であり、利用技術の発達によって、航空機の表面にコーディングすることなどをはじめ、広い分野で実用化が始まっている。コバルト-モリブデン-ケイ素合金は、耐摩耗性を有し摩擦係数が小さい(滑らかな)性質を示し、ベアリングの特徴を併せ持つなど、有用な特性を持った合金も開発されている。またコバルト-クロム-モリブデン合金とコバルト-クロム-タングステン-ニッケル合金は腐食しにくいため歯科医療や外科手術などでも使われている。近年では飛躍的に進歩したものとして、ニッケル-コバルト-モリブデン鋼の大幅な特性向上があげられる。非常に強い強度と高い靭性を持ったこの合金は、多くの分野での応用が期待されており研究が進んでいる。
加えてコバルト合金は他にも磁気材料として鉄とともに最も重要な役割を果たしてきた。コバルトを添加することにより、磁性やキュリー値が上昇するなど磁気材料としての性能が高まる。コバルトを使った合金のひとつであるアルニコ合金はかつては最も幅広く用いられていた永久磁気材料であった。サマリウムコバルト磁石はコバルトとサマリウムの金属間化合物で、強い保磁力がある。
また人体にとって、コバルトは微量ながら必須の元素である。ビタミンB12に含まれている。
この金属は、日本国内において産業上重要性が高いものの地殻存在度が低く供給構造が脆弱である。日本では国内で消費する鉱物資源の多くを他国からの輸入で支えている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄すると定められている。
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